バンドマンはどこへ消えた?

マツミヤカズトのGEEKコラム
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「若者たち2019」で目撃した衝撃

あぁ、疲れてきた。今回は一段と長いね。続けます。

たしかにバンド文化で育ってきた我々は「こんなに楽しいのに」と思うかもしれません。
でも今の中高生はひょっとしたら、ボカロや、あるいはTikTokとかSnapchat の楽しさを知ってて「楽しいのになんでやらないの」と思ってるかもしれません。

表層的な部分だけをみて「若者が元気ない」とか思うかもしれません。
でも彼らは実は僕たちから見えないところではめちゃくちゃ元気なのかもしれません。

僕はそれを先日の徳島ライブハウスサーキットイベント「若者たち2019」で目撃しました。

「物販コーナー」の目の前の、知らなかった世界

サーキットイベントである「若者たち」において、我々GEEK! GEEK! GEEK! はclubGRINDHOUSEにて出演させていただきました。
しかし各ライブハウスの面積の都合から、GRINDHOUSEを含めたいくつかのライブハウスでは出演者の物販を近所のクラブ「CLUB HIGHLAND」にまとめて行うことになっていました。

そしてそのHIGHLANDももちろん「若者たち」のイベント会場のひとつであり、とあるイベントが行われておりました。
それが、アニソンDJによるクラブイベント「夜★アソビ」でした。

僕はそこで、全く触れたことのなかった異文化に接しました。

鳴り響く(全く知らない)アニソンと、それに対して「ウォーーー!!」っと盛り上がる、ちょっとオタク風のお客さんたち。
その「ウォーーー!!」が、なんていうか「キタキターー!」とか「そうくるかー!!」みたいな感じなんですね。
僕が全く知らないアニソンをフロアにいる全員が共有して楽しんでいるわけです。
めちゃくちゃ楽しそうでした。「オタ芸」というのを初めて見せてもらって感動しました。

ひっきりなしにかかるアニソンを全身で浴びながら踊り狂う、ちょっと冴えないルックスのボーイズ&ガールズ。
コスプレをしてる人がいたり、慣れていないのかちょっと恥ずかしそうに体を動かすもの静かそうな女の子がいたり。
たまに通るゴリゴリのパンクバンドの人が怖がられていたり。
そしてみんな基本はシャイだから礼儀正しい(笑)

なんかもう、愛おしくてたまんなかったんですよ。

お前らぁあああ!!! こんなとこで楽しんでたんかぁあああ!! 会いたかったぞおお!!!

ちょっと申し訳ない表現になりますが、童話「おむすびころりん」で、穴の奥で密かにパーティーをやって盛り上がっているネズミたちを思い浮かべてしまいました。いい意味で(?)

そうそうこれこれ↓

日本昔話をギャル語に訳した結果wwww

 

さて、僕は彼らの存在に驚き、結構感動したわけですが、それはなんだったんだろう、と考えていました。
まるでディストピア映画で、荒廃した大地をさまよった末に、山奥で人々が暮らす「小さな社会」のシェルターを見つけた時のような感覚がありました。

おそらくあれが、新興文化の持つ「勢い」なんじゃないだろうか。

たぶん、長くても15年かそこらですよね、アニソンDJイベントの歴史って。
若い文化では全員が初心者で、邪魔な「古参」のいない、「おれたちでどんどんやっていこうぜ!」っていう気概を感じたような気がします。
なにが「正しい」とか、なにが「間違ってる」とかの不文律的なマナーとかもまだそんなにないんじゃないでしょうか、おそらく。(まぁ、先輩ヅラするうっとおしいやつもいるんでしょうけど)
こんな曲をかけるのはよくないとか、こんな格好をすべきだ、とかもあまりなさそうに見えました。

それは、今まさに作りあげられ、大きくなっていこうとしている新しくてニッチな文化です。
シンプルにうらやましい、と思ってしまいました。

どうするバンドメン

さっき書いた「オタイベント」についての文章で僕は「全員が初心者」という表現を使いましたが、実をいうと、これはそのイベントに限ったことではない、と考えています。

何度も出てきている「情報の民主化」によって何が起こったかというと、この地球上のネットにアクセスできる全員が、あらゆる(今まで知らなかった)文化圏に関わりを持つことができる世界になったのです。

たとえばプロ野球選手が、ギターを弾いてみたいと思ってgoogleで「ギター 初心者用 おすすめ」と検索するかもしれません。
逆にゴリゴリのプロギタリストが「サーフィン 初心者用 おすすめ」と検索しているかも。

そういう、文化圏の横断がたった10年前よりもずっと簡単に、凄まじいスピードで起こるようになっています。
youtubeや誰かのブログでオススメされていたアレをちょっとやってみたいな、買ってみたいな、とライトに考える人が世界中に溢れているわけです。

つまり「全世界初心者化」が起こっているわけで、その世界ではいかに初心者を取り込むことができるかで、その文化圏が生存できるかが左右されるのではないでしょうか。

先ほど紹介した「夜★アソビ」のイベント情報があったので紹介します。

【4/28(日)13:00~】夜★アソビ~vol.57SP~ in 若者たち【徳島】 - TwiPla
Q.夜★アソビってどんなイベントなの?A.徳島で毎月開催しているアニクラです!Q.”アニクラ”ってよく聞くけど一体なに?A.アニソンを中心にボカロや特撮・声優の曲が流れるクラブイベントのことです!今回

「詳細」文の初めに書いてあること・・・・

Q.夜★アソビってどんなイベントなの?
A.徳島で毎月開催しているアニクラです! 
Q.”アニクラ”ってよく聞くけど一体なに?
A.アニソンを中心にボカロや特撮・声優の曲が流れるクラブイベントのことです!

アニソンのクラブイベントのような、新しい文化を広げていくためには、対象はほとんどが初心者なわけですからまずはこんな基本の説明からはじめるわけです。
何をやっていて、どんな雰囲気で、どんな風に楽しいから、おいでよ!という説明です。

そして前述した通り、今は「全世界初心者化」が進行しています。
ここで旧来の文化圏がしなきゃいけないことはなんでしょうか。

「カープ女子」をバカにするな

果たしてバンドマンは、ライブハウスは、スタジオは、どれだけ「初心者」を取り込もうとしているでしょうか。

「ライブやライブハウスはちょっと怖くて近寄りがたい空間であったほうが憧れが生まれていい」的な言い分を聞くこともありますが、それは「情報が少なかった時代の論理」です。
今では想像しにくくなっていますが、Googleも口コミサイトもなく、自分の体でトライ&エラーをするしかなかった30年前の若者は、頭の中で「先輩が言ってたライブハウスってどんなところだろう」と考え実際に行動するしかありません。そこでヤンキーにからまれたとしても、全身がタバコ臭くなっても、それを吐き出すSNSはまだありません。

しかし今は、レストランひとつとってもリアルな口コミ情報を吟味してから選ばれる時代です。
情報が溢れているなら「居心地の悪い体験をするかもしれない、初心者にやさしくない空間」にわざわざ行ってみようと思う人は少ないでしょう。
「よかった」「楽しかった」という情報が少しでも多い場所に流れていくはずです。

古い文化側に属する人間がやらなきゃいけないことはものすごく明白で「初心者」や「ライトユーザー」を見下さず、取り込み続けることでしかないと思います。
その対象はもちろん全世代でしょうが、今後もその文化圏が続いていくためには若いエキスが必要です。
おじさんたちには理解できない「元気のない若者」とやらに対して、最初の一歩からこの世界に丁寧に案内し、興味を持ってもらうしかないでしょう。

それはひょっとしたら、「ちはやふる」や「あさひなぐ」といったマンガによってマイナー文化が市民権を得たのと同様に、今更「バンドやろうぜ」的なマンガが流行るだけでもいいのかもしれません。

あるいは、「夜★アソビ」のように、そこから説明するの!?レベルでバンドやライブハウス文化を紹介していかなければならないのかもしれません。

会場が完全禁煙か否かも気になるかも。椅子に座っていられるのか、ずっと立っていなきゃいけないのか。

「PAさんや照明さんは全然怖くない!!」ということも知りたいかもですね。
アンプやドラムのセッティングの仕方は本当のイチから書いておいてあげないと不安です。

ライブのリハでPAさんに怒られたらどうしよう、怖い大人に睨まれたらどうしよう。
とか、情報がない時代には想像でしかなかったことも、今はツイッターに書いてある「現実」です。そりゃ怖いっすよ。
誰かのツイートで「PAに怒られた!」という情報を知れば、それは怖いでしょう。
しかし逆に「PAさんがすごく優しかった!」という情報も伝わるはずです。

ライブハウスは今最高のナンパスポット!っていう噂を流せば鼻の下を伸ばした大学生が来るかもね(笑)

さぁどうすればいいのか? わかりません!!

ていうかめんどくせ!!!めんどくせ!!!!ペッ!ペッ!!

「カープ女子」という、世間から軽んられがちな人々がいます。
しかし実際には彼女たちのようなフットワークの軽い、「浅い」「ファッションの」「にわか」ファンが、最も大事なのだろうと思います。
ファンのピラミッドみたいなものがあるならば、彼女たちは最下層にあたるでしょう。
しかしピラミッドの一番下が大きく広がっていないと、そこから先ピラミッドの上に上がってくれる人も少ないのです。

W杯のたびに渋谷で大騒ぎしている若者は全員アホだと思いますし、ものすごい下痢になればいいと思いますが、それでも彼らが最下層のファンとして、よく考えずにとにかく楽しんでくれないとサッカーの人気は保てない、そういう時代になってきていると思います。

彼らは何に集まってきているか? 野球でもサッカーでもなく「楽しそうなイキフンのムーブメント」じゃないかと思います。

それでもまだ「よく勉強もせずにファンなんて名乗ってんじゃねえよ」「俺らの時代は叱られてひとつひとつ覚えていったんだ」といった論理を持ち続けるなら、それもひとつの手段です。もっと寂しくなるかもしれませんが、みんなが初心者に優しくなったら、厳しい人がいるのも多様性のひとつ、逆張りとして価値が出るかもしれない。
なかなか大変だと思うけど・・・・

再び新興文化のように

バンドを、ライブハウスを、あるいは野球やサッカーを愛する人がもっと多くの人と一緒に楽しみたいと思うのは当然です。
仲間を募り、楽しいイベントを企画してその文化に携わる人口を再び増やそうと頑張ることは素晴らしいことです。

しかしそれが叶わないからと言って「若い人たちには元気がないから」と見下げて溜飲を下げておしまい、にするのは大いに間違っていると思っています。あの頃はよかったなぁとか言っていても、年老いて死ぬだけです。

ていうか、渋谷で軽トラをひっくり返している若者、めちゃめちゃ元気じゃん?笑

古い文化(と、もう言っていいでしょう)である「バンド」や「バンドマン」が減ったのは若者に元気がないからではなく、音楽が本当の意味で「民主化」され、ものすごい速度で流動化した結果だろうと考えています。
以前がうまくいきすぎていた、人口が密集しすぎていたのではないでしょうか。

今は、他に楽しそうなことがあれば、そっちに行ってみようかなと誰もが軽く行動できる健全な社会です。
そしてその「民主化された」、誰もが情報にアクセスできる世界においては世界中の誰もが「初心者」や「新規顧客」になり得ます。

「門戸を開く」だけでは不十分な世界になってきたように思います。
「お気軽にどうぞ」というだけでは、常にあらゆる情報を精査し続けるこれからの世代にとっては不安要素モリモリです。
3000円払えば他にいくらでも楽しいことができる時代なのに、楽しめるか不安なよく知らないバンドのライブ会場に行く人がどれだけいるでしょう。
どうせ数千円払うなら、絶対に楽しめるだろう有名なバンドを見に行くか、モンストに課金しますよね。確実に楽しいという「情報」があるんだから。

まぁいろいろ言いましたが結局自分が楽しんでいることを「楽しい!」と発信し続けることが一番大事なんでしょうね。
そして一緒に楽しんでくれる人が現れたら、それがどれくらい楽しいのかを伝え続けることなんでしょうね。

これは少しヒントになるかもしれないと思うのは今なにかと話題の「アメトーーク!!」です。
あの番組では時々、わざとマイナーなもの(例えば「豆腐大好き芸人」とか「キン肉マン芸人」とか)を取り扱うことがありますが、あの企画がなぜ成立するか、なぜ面白いのかというと
人間は、誰かが自分の好きなものの話を嬉しそうにしているのを見るのが楽しいから
なのだそうです。
もちろん芸人さんの話芸があってこそだとは思いますが。

例えば、「B’z」が大好きな誰かさんとその仲間たちが、愛するB’zの曲だけをひたすら演奏するイベント、とかね。
ライブが始まる前からはっきりと「何をするのか」がわかっていて、お客さんは自分が好きなものを同じように好きなバンドマンと時間を共有できると、楽しめるはずだ、とわかるはずです。

バンドをやるとどんな風に楽しいのか、楽器店は、ライブハウスは、レコーディングは、スタジオは、どんなに楽しいところなのか、というのを発信し続けないといけないんでしょうね。
「盛り上がってるぞ!」と(嘘でも)アピールすることも大事でしょう(笑)

いやーん大変。

ここまで言いたい放題言っておいて、GEEK! GEEK! GEEK!はどうなんだ!と言われてしまいそうですが、ぶっちゃけ全然ダメです。
でも、実は水面下でいろいろと仕掛けていたりします。
それが実を結ぶかどうか・・・わかりませんが。

変化に対して動いていかないと、毎回ライブハウスに自分でノルマを払ってライブをしても虚しいだけです。
新規のいない、身内だけで身銭を切って回っている業界は必ず死にます。
まずはライブのお客さんが全員知り合いのバンドマンっていう状況から抜け出さないとね。

徳島サーキットイベント「若者たち」は、来年も開催されるはずです。
そのイベントがどれだけ楽しくて、怖い人もいなくて、友達ができて、音楽をいっぱい聴けるのかを、詳しく発信しなくては。

令和のバンドマンは大変だね・・・。

めんどくさいけど楽しいね!!

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