2020年新春長編対談「HighTとちくげの【非】方法論」(4/5回)

ちくげを解剖する
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2020年新春長編対談!


ちくげがいろんな人に会ってお話する「ちくげを解剖する」シリーズ第4弾。
徳島に突如現れ、大学講師としても活動されている注目のシンガーソングライター HighTさんをゲストに迎え、お互いの「ものづくり」に対する姿勢について深く話しあいました。

一見ナマイキそうな(失礼)イケメンも、会って話してみれば音楽に真面目に向き合う一人の真摯なアーティスト。

あまりにも話が弾みすぎて収録時間は2時間以上!(編集は地獄でした)
田舎町徳島を舞台に活躍する二人のクリエイターの言葉を、ぜひゆっくりお楽しみください。

●進行、編集:マツミヤカズト
●ギャラリー参加:AWAP編集部の皆様
●会場:徳島市万代中央ふ頭 AQUA CITTA CAFE
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第4回

徳島のインディーズ界隈について思うこと

では、ギャラリーとして参加してくださっているAWAPさんから質問等あれば。

AWAP浅野さん 徳島の音楽界隈がこうなったらいいな、こうしていきたいな、みたいなことってありますか? 特に若い世代に向けて。

ちくげ しょうもない音楽すんな、と思いますね。

━━━ あら、急に尖った。

一同(笑)

ちくげ どっかで聞いたことあるわみたいなバンドが多くて!
・・・この発言使えんね!!!(笑)

HighT いや、いいんちゃいます?(笑)
言いましょ言いましょ。

ちくげ いやー、あるじゃないですか・・・ライブとか見てても「あーこのパターンね」とか。
徳島は個性的なバンドが多いとはいえ、でもやっぱり個性的な人には誰にも真似できないものがあって、それで突出していくんですけど・・・その他の人たちがもう「劣化版〇〇」みたいなんが多くて・・・

HighT あー、ねぇ・・・。僕は・・・もうそれは仕方ないと思っていて。環境が環境やし・・・。
単純に、東京や大阪で対バンするアーティストさんってやっぱりクオリティが高いし、ライブをしっかり作ってて、しっかり音楽に向き合ってる人がいる環境じゃないですか。
そこでやってる音楽ってそういう音楽になっていくし、環境が人を作っていくと思いますね。

ちくげ 絶対数が少ないですからね。

HighT そうなんですよ。そうなるべくしてそうなってて、その子達がそうなるのは仕方ないなって、僕は思っちゃうんですよ。
なので有名なアーティストさんとか、しっかり音楽やってるアーティストさんを呼べるようなイベントを徳島でやって、徳島のアーティストさんがそれを肌で感じる空間を僕らがつくって見せて「これを僕らがせなあかん」と思わせないとあかんのやろな、と。

・・・めっちゃ上から言ってますけど(笑)

ちくげ いやいや。そうですよね。

HighT 僕はそういうのを自分で見てきたからわかるのであって、ずっと徳島でやってたらたぶんそんな機会は少ないですよね。
だから僕はイベント・フェスをしたいと思ったし、徳島の音楽シーンや徳島で音楽したいと思ってる人がもっと自分のやりたいこととか夢を実現できるような環境づくりがしたいんです。
自分が全然まだまだなんで、とりあえず自分の認知度を上げるのが優先なんですけど、その後は、いろんな機会を増やしてあげれたらなぁと思いますね。

ちくげ うんうん。

HighT だってめちゃくちゃライブ作り込んでる人と対バンしたら絶対「あれ、おれ何してんねやろ」って思いますもんね。

ちくげ そうですね。僕が、若いバンドに言うなら「『〇〇みたいなバンド』を目指すな」ってことかな。「〇〇みたいな」って言われた時点で終わりなので。

HighT うん。まぁ最初はアリやと思いますけどね。

ちくげ 最初は何かを取り入れたり模倣するのは全然アリで、その後に、どういう自分らしさを出していくかっていうのをもっと突き詰めないと、突き抜けないぞ、と。

HighT 単純に、「誰かの劣化版」より、本物聞きますもんね(笑)

━━━ なるほど。逆に「どんな劣化版でもいいから、とにかくたくさんいてほしい」っていう気持ちはありませんか? まず音楽をやる人口が、有象無象でもいいから増えないと、そこから出てくる人も少ないのかな、とも思いますが。

HighT あー確かに。始める人がいないとっていうね。

ちくげ うんうん。もちろん有象無象がおっていいんやけど、ただ、せっかく「徳島は面白いミュージシャンが出てくるよね」って言われる環境なんだったら、やっぱりそれぞれが何か突き抜けたところを見つけることが「徳島の音楽界隈の特色」になると思うし、「徳島の音楽ってこれですよ」ってやっと言えるのかなっていうのは感じますね。

HighT それは・・・GEEKさんですよね完全に。

ちくげ え、ありがとうございます(笑)

HighT いきましょいきましょ(笑)

ちくげ なんなら僕はもう、日本のトレンドが嫌いすぎて。

HighT 間違いないすね。

ちくげ それこそさっき僕がダサいって言った、サビで感動的なストリングスをのせとったらいいんでしょ、みたいなんが嫌すぎるんですよ。

HighT あははは!

ちくげ そんなん、UK、USのTOP100見たら、おらんぞ、と!

HighT おらんすね。

ちくげ そういう!とこですよ!!

一同(笑)

HighT ね〜(笑) でもそれはほんまにそうですよ。

ちくげ どのメジャーアーティスト聴いても、それこそ「様式」で固まってるんですよ。
亀田誠治にしたって、彼のベースプレイは好きやけど、彼のプロデュース業は嫌いなんですよ。

HighT あ、そうなんですね!?

ちくげ スピッツが亀田誠治プロデュースになった時に、僕もうがっかりしてしまって。
なんか「教科書の通りやってんの?」みたいな。「なんかそういう教科書あんの?」っていう。それは誰が発祥の教科書かわかんないですけど、みんなそれをやりだしてしまって・・・おもんなーってなって。

HighT 突き抜けなあかんすね・・・。

━━━ ご自身の現在の突き抜け具合って。自己分析するとどんな感じですか?

HighT いや僕はまだまだ全然です。全然突き抜けてないです!
僕が歌ったら、カバーであれなんであれ「HighTの曲になる」っていう風に思わせたいので、そこを今は積み重ねてますね。
声だけでどこまで表現できるかっていうのはありますね。
ただ僕も、サビでストリングス入れがちなんで・・・(笑)

一同(笑)

HighT 結構入れがちなんで(笑) それは、それを良いと思って聴いてる人に向けて作ってるからなんですけどね。それは戦略の部分ですね。
最近出した2曲も、1曲はJPOPが好きな人向け、もう1曲は僕がしたい曲っていうことで、今後も交互にやっていこうと思ってます。

ちくげ そういうバランスが取れるっていうのはいいことですよね。

HighT そうですね。僕がしたくて作った曲の方は結構音も突き詰めました。

ちくげ めっちゃかっこよかったっすよ。

HighT ありがとうございます!


「オリジナル」とは?

━━━ いわゆる「オリジナリティー」っていうのはどこから出てくるんでしょうか?または何をもって「オリジナリティー」としますか?・・・難しいこと聞きますが(笑)

HighT 難しいこと聞くなぁ・・・(笑)

ちくげ ん〜、僕は、ゴールを「聴いたことない」に設定してます。なんの曲も参考にしないっていうのがまずありますね。
で、前にバンドやってた時とは作曲法も違って、偶然を重視してます。たまたま見つけた「この音」を基準に展開させていこう、みたいなとこで作ってます。あと、「AメロBメロサビ」にこだわらない。
それが「結果として」ああいうことになってる、みたいな。

━━━ 手が勝手に動く、みたいな?

ちくげ そうそうそう。ただね、それを信用しすぎると「手グセ」になるんですよ。なので、そこも信用してない。

━━━ なるほど。でもじゃあ、基準にする「この音」っていうのを、「これでいこう」「これがいいと俺は思う」って決める根拠は、何を信用して決めるんだろう?

ちくげ そこも微妙なとこで。「この音いいな」っていうのを信じきってしまうと、それもまた手グセになるんですよ。

HighT わっかるなぁ〜〜〜!!

ちくげ 「この音、普段だったら自分は使わんよな」っていう音をあえてチョイスする時もある。

HighT あるある。

━━━ 「結果として」誰かの曲に似てしまうかもしれないけれども・・・

ちくげ そう。それは結果論として。

━━━ なるほど。HighTさんはどうでしょうか。

HighT 僕は、どれだけ「オリジナリティーや!」言うて作っても、自分のルーツって他人の曲なんですよね。どうあがいても、マイケル・ジャクソンが好きな自分がいる中で、どうオリジナルを作り出そうと思ってもそこから影響を受けてることは変わらないわけじゃないですか。
例えば、久保田利伸さんが好きでずっと聴いてても、やっぱり久保田利伸の後ろにマイケル・ジャクソンの影がチラつくのはわかるんですよね。そういうもんやな、と思っていて。

でも、例えば、僕の曲を好きな人が、別の人の曲を聴いた時に「あ、HighTさんっぽいな」って思ってくれたら「勝ち」やなっていう。そういうのがいいな、と思います。
そこでオリジナリティーにこだわり続けて作っても、結局どこかの誰かの楽曲に似てしまうと思うんで、それよりは、個人としての物語性を重視したいな、という風に今はなってますね。

━━━ やっぱり「結果でしかない」、ということで共通してるんですかね。

ちくげ そうそう。「結果論」

HighT そうですね「結果」ですね。でも「こだわり」とか「独自性」はやっぱり無いと、「らしさのある結果」にならないのかもしれないですけど。

ちくげ だから、「らしさ」とか「オリジナリティー」は「出す」んじゃなくて「出る」もんなんだってことよね。

HighT そうですね。そう思います。オリジナリティーを無理に意識しなくても、作ってきたものを見てみるとなんかいつのまにか・・・

ちくげ そうそうそう。なんか「マイフレーズ」みたいなんがありますよね。

HighT ありますよね。そんなもんかなって感じはします。

━━━ 「これが自分っぽい」っていうのは、結構自覚的にあるんですか?

ちくげ ある。

HighT あります。僕は歌詞で特に。
バラードになると基本、病むんですよ。

一同(笑)

HighT 病んだ気持ちをめっちゃ書いた後、なんか光が射す方向に向かう〜みたいな歌詞で、気づいたら曲になってる、みたいなのが多いですね。
バラードは全部「闇から光」になってる気がします。雲の隙間から光が射すような感覚ですね。

ちくげ 僕はなんか、「これを作ろう」じゃなくて「なんかできた」のほうがいい曲になってるような気がします。

HighT あ〜、そうですね。

ちくげ 適当にやって「できちゃった」もののほうがオリジナリティがこもってたり。
なので結構遊びながら曲を作ってるところがあって、この音使ってみたらどうなるんだろう、みたいなところから、自分でも予想してなかった展開になることが多いですね。

HighT あ〜、そういうの最近してないなぁ・・・!(笑)

━━━ お二人の今回の話って実はずっと、「結果論」であり「【非】方法論」ですよね。
再現性がないというか「こうすればいいんだよ」っていうことは実は全然無いんですね。

ちくげ そう。それこそ僕はそういう「教科書」はいらないと思っていて。別に誰かに教えるつもりもないし(笑)

━━━ たまに講師とかやってるけど、困ってるんやね(笑)

ちくげ あれは、「世に出てる教科書」に沿ってやってる。

一同(笑)

HighT うんうん(笑)

ちくげ 自分の中に教科書を持ってないので。

HighT 僕はボイトレとバンドの先生を担当してるんですけど、気づいたらこう・・・「考え方」みたいなのを熱弁するようになってますね。
で、今生徒さん達について一番困ってるのが・・・「何からしたらいいかわからん」っていう子が多いことで。あとは「徳島やからどうせ無理や」っていう、この2個ですね。
でも「やり方」なんて、今の時代ならGoogleで【シンガー なり方】って検索したら出てくると思うんですよ。そういうのをしないのかな、という。曲の作り方もDTMのやり方も全部出てくるし・・・。
やったらいいのにな、っていう。それが、言ってもわかってもらえないんですね。

━━━ MCのくせにちょっと喋りますね。
調べたらわかることって、情熱が冷めると思うんですね。
方法論がありふれてる時代に情熱を保てるのは「方法論が無いこと」だけなんじゃないかと思います。
実はGEEK! GEEK! GEEK!をやってて僕らが楽しいのは「やり方がわからないから」なんですね。今までの「バンドのHOWTO」が一切通用しないから(笑)

HighT あー!確かに!なるほど。

ちくげ そうそう。なので、全部「遊び」なんですよね。

HighT 確かに、プロが遊んでる感じに見えますね、GEEKさんは。

一同(笑)

HighT それって一番かっこいいと思いますよ。ほんまに。

ちくげ ありがとうございます(笑)
いやー、ここまで来るのも大変でした。イヤモニのシステムもやし、この音楽を再現するにはどうしたらいいのかっていうところからでしたから。

第4回はここまで!次回は最終回!
二人が自身の「好きなこと」についてどう考えているのか、モチベーションをどう保っているのか、その「方法論」について語り合います。
そしてこれからどう活動していくのかについての展望をすこしだけ・・・。

 

HighT(ハイト) YouTube Channel

徳島県出身、徳島市在住のシンガー。
全てを包み込むような切ない”スモーキーボイス”
独特の楽曲センスと日本語と英語、「光」と「闇」が交差する歌詞が特徴。
2020年には鳴門文化会館にて単独ライブ、2021年にはアスティ徳島にて大型音楽フェスを主催予定。

大学時代から本格的に音楽活動を始め、在学中にインデーズデビューを果たす。
同時期には京都にて学生音楽団体「オトノハネプロジェクト」を立ち上げ音楽をツールにした地域活性などの活動を精力的に行う。
大学卒業後2013年ダンスボーカルグループ「Tigh-Z」を結成。2016年ユニバーサルミュージックからメジャーデビュー、オリコン27位を獲得するも、同年グループを脱退。

その後ソロアーティストとしてスタートさせるが、自身の喉の治療のため一時活動休止を発表。
喉の手術と同日2018年2月14日には、インディーズシーンを牽引する11組の実力派アーティストとのコラボレーションアルバム「ALTERNATIVE」をリリース。iTunes R&Bアルバムチャート3位を獲得する。

その後2018年7月から活動の拠点を地元徳島に移し、再始動。
同年9月27日には両A面シングル「藍色/OverRoad」をリリース、年末12月30日には徳島シビックセンターでのホールワンマンライブを開催、チケットも完売し大成功を収める。

持ち前の”クリエイティブさ”を活かしアーティストとしてだけではなく作家、楽曲提供やデザインなどのプロデュース、イベンター、ライブブッキングなど数多くの事業も手掛け、自身でもYoutubeでの動画配信なども定期的に行っている。
四国大学の音楽科の非常勤講師も務めている。

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