難点その2:印象的な一発フレーズをつくりにくい
前述の通り、日本語は意味を成すために必要な「音(符)数」が多い言語です。意味に対して音コストがかかるわけです。
したがって何が起こるかと言うと…
これ!という、端的で印象的で、繰り返せるような一言を歌詞に載せるのが非常に難しくなります。
英語なら3音とか5音くらいあれば、オリジナルのワードをビシっと言うことができます。その曲の世界観を一言で表すような決め台詞ですね。
Smoke on the waterとか、Can’t stopとか。
先ほども出てきた「A Whole New World 」。
これは日本語に訳すにしても本来ならば絶対に外せないワードですよね。「全く新しい世界だわ!」って、絨毯に乗って空を飛びながら歌うわけですから。
でも英語なら4音でいけるところを「全く新しい世界だわ~~」って、これ何音?まぁええわ。長い!!!! おさまらんでしょ。冗長でしょ。
なぜなら僕は幸せだから~~~
黄色い潜水艦~~~
(昔、水前寺清子によるカバーがありました。「あ、せっんすっいかん〜〜」っていう)
おわかりいただけますでしょうか?
流れに載せてビシッと言えないんですよ!!日本語の音コストだと!
印象的な一発フレーズを作るには
そこで、日本のポップスターたちはどうしてきたかと言いますと、実はすごく簡単な解法があります。
それは「もう英語で言っちゃう」です。
僕もやってます。だってどうしたって日本語ではこの曲のスピード感にハマらないんだもん。
まぁ、英語の「Repeat」ではなくカタカナとしての「RIPI-TO」なんですけどね。
マセたガキだった頃は「なんで急に英語になるねんwww」とか生意気なこと言うてましたが、ちゃんと理由があったんです。
しかし、もちろん日本語を使ってその「ビシっとしたワンフレーズ」を見つけ出す天才もいます。
赤黄色の金木犀(の香りがしてたまらなくなって)
(きっと今は自由に)空も飛べるはず
前前前世(から僕は君を探し始めたよ)
これはもう、天性のボキャブラリーですw
メロディーに乗せて口を動かして、どれだけ印象的なワンフレーズが出てくるか。
奇跡が起きるのを待つような作業です。
僕自身は日本語でこういうビシッとしたフレーズがでてきたことはまだないですね。恥ずかしながら。これは今後やっていきたいところです。
番外編
君はマザーファッカー 頭がマッスルヘッド
(・・・・まぁ英語ですけど)
難点その3:単語の中に音程がある
日本語ミュージカルの違和感についてのとこで少し触れましたが、もう少し詳しく。
英語でも長い単語であればそうなることもあるんですが日本語では特に、基本的に単語が一文字一文字バラバラになってしまいますから、ほぼ必ず「1単語の中で音程がある」という状態になります。1文字〜2文字の単語とかってそうそう無いですからね。
したがって常に、単語のアクセントを気にしながら言葉を選んでいかなくてはいけません。
英語なら、一音一音節(短い単語なら一単語)なので、どんなに起伏のあるメロデイでも大抵は違和感なく歌うことができます。
だろうが
だろうが、その文章の意味自体がイントネーションによって崩れることはありません。
文の意味がメロディーによって干渉されるということが(ほぼ)ない、ということになります。
しかし日本語では
【は↓し↑】 なのか、【は↑し↓】なのかで、【橋】と【箸】がごっちゃになってしまいます。もしくは関西弁になってしまいます。
「晴れ」→「ハーレー(ダビッドソン)」
「雲」→「蜘蛛」
とかね。
【靴を履いて】出かけたいのに、【靴を吐いて】出かけてしまったり。
つまり日本語の歌詞では音数がハマるかだけでなく、音程の上下も気にしながら言葉を拾っていく必要があるのです。
これの解決法は・・・ありません。笑
違和感がない言葉をひたすら探したり、組み替えたりし続けるだけです。
もしくは詞と曲を同時に作っていくかです。
そもそも、意味が伝わる限り、必ず話し言葉と同じアクセント・イントネーションにならなければいけないわけでもありません。歌なんだから。
問題は上記のように、違う言葉に聞こえちゃう場合です笑
もうこのへんでええかいな
難点は挙げようと思えばまだまだあるんですが、僕の音楽的知識では説明が難しくなって来たのでこの辺でやめときます。
あと、ほんとは「二重母音」とか「子音発音」について書こうと思ってたんですが、あまりにも音楽的専門知識が不足しており、途中で「こりゃ無理じゃぁ・・・」となりました・・・・う~ん、まぁ一応書いとくか。たぶんわかりにくいし、そうは言い切れない部分もあると思うんで、ざっくり読んでつかい。